山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

家族の話。

最近は、もう、ダニーのことばかり考えていた。

風邪がなかなか治らないので、家からほとんど出ないで、NETFLEXばかり見ていた。

なかでお気に入りは、「BLOODLINE」で、日本語でいったら、「血族」とか「血筋」ってタイトルになるかと。

フロリダのキーズというリゾート地が舞台。

青い海に白い砂浜が続く、天国みたいな美しい場所で、ホテルを経営する「レイバーン」一家のお話。

そんな美しいビーチが舞台なのに、繰り広げられるのは、家族の暗い過去百連発、みたいなどろっとしたストーリー。

サム・シェパード演じる、一代で名門ホテルを築いた父親と、シシー・スペイセク演じる母親の元に、子供が4人。

子供といっても、長男ダニーは40代後半で、彼が久しぶりに家族のもとに帰って来たところから物語りが始まる。

次男のジョンは刑事で、まじめで信頼され、美しい妻と二人の子供にも恵まれ、地元で平和に暮らしている。

三男のケヴィンは、ちょっと荒くれ者だけど、近所でヨットの修理会社を切り盛りしていて、やはり美人の妻がいて、それなりにやっている。

次女のメグは弁護士で、刑事のマルコと同棲中で、知的で美人で、向かうところ敵なし。

一見、すべてうまくいっていたはずの名門「レイバーン」一家に、不肖の息子・ダニーが戻ってきたことで、それぞれが抱えていた闇があらわになり、破滅への道を進む。

ダニーが家族のもとを去ったのには、理由があるらしく、長女・サラが幼い頃亡くなったことと関係があるらしい。

なぜ、サラは死んだのか。サラの死にダニーがどうかかわっているのか。父親がダニーを毛嫌いする理由は何か?
みたいな、あらゆる疑問がひっぱって、ドラマを見ていく。

このダニーってひとが、謎というか、怪しいというか。キャラクターがよくわからない。

登場したときは、すっごい不良のダメ人間に見えて、こいつのせいで、家族が不幸になる…って思いで、まじめな次男・ジョンと同じ視線で見ているのだけど、ずっと見ていくうちに、あれれ、ダニーばかりが悪いわけではないのでは?

そもそも、暴力的な父親のせいで、ダニーはひどい目にあったのでは?

まじめなはずの次男ジョンも、実は、父親にたてつくことのできない、小心者の嘘つきでは?

…とぽろぽろと、キャラクターへの疑いが生まれていく。

ダニーが戻ってきたことで、それまでうわべはなんとか平和を保ってきた、レイバーン一家は、ボロボロになるんだけど、でも、結局、一番ひどい目にあうのは、またもやダニーということに。

それで、なんだか、ダニーのことが気になって、ダニーのことばかり考えていたのだ。

ダニーがやっぱり、あまりにかわいそうで。

なんでこんなにダニーは不幸になったのかしら…と。

もちろん、本人の責任もあるけど、やはり、「親」が悪いんだよね。

子供よりも、自分の気持ちを優先した結果、子供たちにひずみが生まれてしまった。

今でいうところの「毒親」なんだよね、この両親。

ダニーがはじめて、母親に本音をぶつけるシーンは、とてもきつかった。

子供たちを一番に愛していると見せかけ、自分もそう信じてふるまっている母親が、真実をつきつけられて、狼狽するシーンが。

なかなかこういうシーンは日本のドラマだと御法度だよね。最終的に母親=善とするほうが受けるから。

ダニーのキャラクターは、魅力的とは言いがたいんだけど、彼がかわいそうすぎて、どうしたらよかったんだろう?ってさんざん考えてしまいました。

netflex、オリジナルドラマなんだけど、さすが、お客さんを逃がさない、脚本づくりに参った。

冷静に考えていくと、つじつまの合わないことや、キャラクターに統一性がないことなどに気づくんだけど、それより前に、「とにかく、次も見たいと思わせる」というネットドラマの掟があって、それに従順に作られている。

物語としての完成度より、「次も見たい」と思わせるテクニックが優先されるのは、しょうがないのかもしれない。

映画だと2時間で終わりだから、そこらへんは貫けるのかな。

…と、思いつつも、シーズン1(13話)見終わったので、シーズン2の登場を心待ちにしているのであった。