備忘録も兼ねて、最近見た映画、ドラマについて、書いておきます。
ネタバレとかあるかもしれないので、これから見るひとはスルーしてください。
「グレイマン」(監督 ルッソ兄弟)@Netflix
ライアン・ゴスリングが主演で、「007」を思わせるようなスパイアクション。
007はイギリスのエージェントでしたが、グレイマンは、CIAの工作員という設定。連邦刑務所に服役していたけど、誘われて、CIAの指示で暗殺を行うようになる。多分、よく出来たストーリー&派手なアクション&世界各地での大規模なロケが魅力なのでしょうが、そのあたりにはあまり興味がなく。
一番気になったのは、「007」と決定的にちがうことがひとつあったこと。それはとても大きな変化でたぶん、よいことだと思いました。
グレイマンは、仕事で関わった美女と恋愛したり、一夜の情事を楽しんだりしないんですね。
そして、彼と一緒に働く女性エージェントも、露出多めのドレスだったり、ピンヒールのパンプスを履いていたりしない。ちょっと考えれば当たり前のことですが、だって、ヒールやスリップドレスで闘うのは圧倒的に不利だから。
なので、登場するグレイマンの同業者の女性もパンツスーツだったり、歩きやすそうな靴を履き、ほとんど肌を露出しないんです。同僚と恋愛もしない。
これはきっととてもよいこと。
「007」シリーズを子どもの頃から見ていましたが、登場する女性たちのセクシーぶりが気になりました。セクシーさが消費されている感じがいやでした。それがなくても映画は作れるようになったんだなーってそんなことばかり考えてみていました。
「ある告発の解剖」@ネットフリックス
脚本と製作が「アリー・マクビール」のデビッド・E・ケリーと知って、一気見。
イケメンで誠実で人気もある政治家がレイプで告発されるところから物語はスタート。告発したのは彼の部下で、一時は愛人関係だった女性。レイプというと暗がりで見知らぬひとに襲われるイメージがなくもないけど、実際は、顔見知りによる犯行が多いんですよね。
で、男側は「同意だった」と言い張る。
この事件でも「同意」をめぐって、法廷で強烈な応酬が繰り返される。その時のこと(レイプ時のこと)をこんなに詳細に話さないといけないとしたら、告発する側は相当きついと思う。でも、それをしっかり描いているし、恥辱ともとれる状況でもひるまず、告発を続ける女性に頼もしさを感じた。
時代が動いている。
それに加えて、告発する側の弁護士も女性で、彼女の体験ともリンクしていて、ドラマを重層的にしている。
「グレイマン」もそうですけど、やっぱりこれらは「新しい試み」だと思う。これまでちゃんと描かれてこなかったもの。こうあってほしい現実を描くのが芸術のひとつの役目だとしたら、それを果たしていると思う。
こういうものを作りたいです、とあらためて思わされました。さすが、デビッド・ケリー。
「インティミダ」(スペイン・テレビドラマ)@ネットフリックス
「ペーパーハウス」があまりに面白かったから、スペインのドラマを見てみようとして、衝撃を受けた作品。これもある意味、セクハラがテーマ。主人公は、成功した女性政治家で、セックス動画が出回ったことで、政治生命も家庭もめちゃめちゃになっていくというストーリー。
「女性」が「政治家」みたいな「力」を持つとやられがちなことだけに、妙にリアリティがあって、恐かった。でも一方でそれをちゃんと映像作品にできるスペインのふところの深さよ、というか、真正面からドラマにできることのすばらしさ。そして、面白いし。
いやー再び、同じこといいますが、こういうの作りたい。ずっとずっとそう思って来たけど、実現できなかった。これからはできるかな。できるかな、じゃなくて、やってみよう、だよね。
「あなたの番です」(劇場版)@Amazonプライム
テレビドラマの「あなたの番です」がとても面白かったので、やっとこ見ました。
テレビ版と登場人物のキャラ設定は同じだけど、事件と展開がちがうのでした。
こういう風に作ったんだーって納得しながら見ました。
「コリーニ事件」(ドイツ映画)@アマゾンプライム
一つの殺人事件から戦争中の事件とその後の裁きについて明らかにされていく硬派な作品。
80代の成功した企業家(ドイツ人)がイタリア人の男に殺される。殺人犯は黙秘を続けて、その動機は謎のまま。弁護をつとめるトルコ人は、殺された企業家に子どもの頃から世話になっていたという背景があった。このトルコ人弁護士が殺人の動機を探すために、奮闘していき、そこで明らかになるドイツの戦後の闇(というのでしょうか)。
日本でも安倍首相が殺されて、いろんなことが明るみに出てきているから、相似形にひやっとした。
殺人も含め、事件ってそんなに簡単に起こらないよね。そこに至るまでの長い長い道のりがあると思う。その途中で、誰かが手を差し伸べたら、殺人までいかずにすむことってたくさんある。実際、そっちのが多いだろう、そうして事件を回避していく。
不幸にも回避のチャンスをことごとく奪われた場合、事件に発展する。
苦い苦い映画だった。
「コペンハーゲン」@ネットフリックス
全シーズン見た。デンマーク初の女性の総理大臣の物語。政治って大変すぎ。見ているのがつらくなるほど、いいことなんてほとんどない。それでも政治家でありつづけようとする意志ってなんだろう。自分などはとてもとてもできない。けれども惹きつけられてずっと見てしまいました。
刺激的な作品に出会えると、もう少し生きようと思います。