山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ギャンブラーとして生きる。

昨日は、インディアンの暮らし方と哲学に関する本を読み、多くを望まない生き方を学んでいたんだけど、今日はうってかわって、浅田次郎氏の「カッシーノ!」という、浅田氏が、ヨーロッパ各地のカジノを巡る旅行記を読んだ。

普通だったら、なかなか読まない本だけど、D社の編集の方が送ってくださった。ありがたいことです。浅田次郎さんは著名な作家だけど、これまで一冊も読んだことがなかった。しみじみ、文章から構成まで、うまいなあと思った。読み易くて、面白いけど、文章はとてもシンプル。なんか、カジノの話そのものより、こっちの方で感心してしまった。もともと文章に長けたひとなんだろうか。それとも、さすがにたくさん書いていらっしゃるから、ここまで来たのか。

なんていうか、最近の若いひとの書く小説ってひとりよがりで、自分だけわかればいい、自分だけおもしろければいいという、とても独善的なのが多いけど、さすがエンターティメントの大御所の書くものって、ひとりよがりがなくて、わかりやすく、よみやすく、それでいて魅力的な文章なので、考えるところが多かった。

本の内容も面白かった。モナコを始めとして、ニース、カンヌと次々まわっていく。添えられた写真がまた美しい。自然もいいけど、こうやってみると、精緻につくられた建物の魅力っていうのも捨てがたいなあと思った。

要所要所で語られるギャンブラーの心得なども面白かった。にわかに、ヨーロッパに行きたくなってしまった。

一見無駄だらけのギャンブル。でも、そこにはそこにしかない深い魅力があるのだろう。ヒトってそういう無駄なことに、ちまなこになってしまう生き物でもあるのよね。なんだか。

とても気持ちが楽になる本だった。