山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

よいこはマネをしないように。

テアトル銀座で「酔いどれ詩人になる前に」を見る。

ご存知、チャールズ・ブコウスキーがモデルの物語である。今の時代に置き換えて描いているようで、それがちょっと違和感があった。ブコウスキーを演じるのは、いにしえの青春スター・マット・ディロン。大傑作「クラッシュ!」では、人種差別もするけど、親孝行もする二面性のある警官を演じてたけど、この映画では、ばっちり、荒くれ者のブコウスキーになりきり。(そんなにハンサムだったのか?)

ブコウスキーは、今でいうところのフリーターつうか、ニートつうか。大学は出たけれど、掃除夫とかドライバーとか、バイトみたいな仕事をやっては、すぐにやめたり、クビになったりし、バーで知り合った女のところへ転がり込み、昼間っから酒飲んでばっかりのどうしようもない奴。他にすることといえば、競馬くらい。しかし、そんなブコウスキーも常に小説を書き続け、ニューヨーカーに送り続けているのね。

そんなこんなで、女の間を渡り歩き、相変わらず、低賃金の仕事をやってはやめ、やってはやめの繰り返し。ちょっと気に入らないことがあると、昼間からバーにしけこんでしまう。が、結局そんな彼も、ある日、突然、ニューヨーカーから、お返事をいただくわけです。短編がひとつ、掲載されます。要するに作家デビューです。もちろん、このあとも、それほどハッピーだったとは言い難い人生でしょうけれども、酒と女に溺れても、とにかく、彼には詩と小説があったんですねえ。ふむ。そして、世界的作家への道。

ストーリーとしては、凡庸かもしれませんが、時々はさまれる、ブコウスキーの詩やモノローグが結構効いてて、わりかと良かった。特に、最近、男とお酒に溺れている私としては、(嘘!大嘘!)、身につまされる思いがしました。

けどさ、これで小説書いてなければ、ブコウスキーもただのアル中の困ったさんだよねえ。ああ。実は、昨晩、大変精力的で優秀な編集者さんと会って、いろんな作家のひとの、おもしろ話伺ったばかりだったので、なおさら、楽しめました。ほんと、作家さんってたいへんなのね~。(他人事なのか)。

ブコウスキーの生活見ていると、だんたん、嬉しくなる。なあんだ、自分なんて、わりとちゃんとしてるじゃないか…とかね。(ちがうだろう、暮らしぶりで競ってどうするんだ!)

が、なぜか元気になったことは、確か。でも、なぜなんだろう。

そうそう、ブコウスキーみたいな暮らし、よいこはマネしちゃだめですよ~。

孤独に強くなること。愛なんてなくてもかまわない。やるときは徹底的にやれ。

なんて、言葉が印象に残りました。